本当は怖いSNS投稿と法的責任

かずさFMネタをもう1本。

4月6日の放送は、本当は怖いSNS投稿と法的責任というテーマでお話をさせていただきました。4月と言えば新生活→大学入学などに伴ってSNS始めてみようという方がいるかもしれない、もともとSNSやってたけど新生活刺激的なことありすぎてみんなに情報共有したいと思う人もいるかもしれない、ということで、このテーマでお話させていただきました。

まず、はじめに申し上げたのは、SNSというインターネット空間に投稿をすることは、駅前で拡声器を用いてその内容を叫んでいるのと同じことですということを申し上げました。

インターネットの投稿自体は誰の目も気にせずにできるからそういう意味で心理的なハードルが確かに低い(この点で駅前拡声器とは異なります)。でも、ひとたび投稿すれば、その投稿は不特定多数が閲覧できる状況になり、その意味で駅前拡声器と同じになります。

インターネットは駅前拡声器だから、例えばバイト先に有名人が来たことをSNSに投稿すれば勤務先は当然解雇となるし、勤務先の内部情報や経営戦略などを投稿すれば会社から損害賠償請求をされるし、特定人を中傷したりみんなが知らない事実を暴露したりすれば同じように損害賠償請求をされることになるということをお話ししました。ここで注意しなくてはならないのは、FacebookでもTwitterでも「非公開設定」というやつです。でも、非公開設定をしている場合でも、もともと閲覧できる人がスクリーンショットをして拡散するという可能性もあるのですから、あまりあてにはならないですよねということも申し上げました。

そして、SNSの投稿は駅前拡声器だから、例えば誰かが損害賠償請求の対象になるような投稿(名誉棄損やプライバシー侵害など)をした場合には、特定ができるんですよ、ということもお話ししました。インターネットは匿名が保たれているから投稿しやすいというところもあるのですが、そういう意味で完全な匿名性はないということです。

近時の裁判例では、Twitterに個人に対する中傷ツイートをした人が裁判所の命令によって特定されたということもご紹介しました。Twitterはアカウント登録の時に必ずしも個人情報を登録する必要はないですよね。だから、一見何を発言しても個人特定はできなそう。でも、そのような淡い期待は法の前には当然敗れ去って、発言した人が誰かわかってしまうのです。自分の発言には責任をもたないといけないという社会のルールが、インターネット上でもあてはまるわけですよね。

個人情報が登録されていないTwitterでも個人が特定できてしまう仕組みとしては、Twitter社はどこからそのアカウントにアクセスしたのかというIPアドレスなどのログ(インターネット上の住所的なもの)は把握しています。そして、Twitterに紹介を出せばその住所がわかって、その住所を管轄するのはどのプロバイダーかはすぐにわかるので、プロバイダーは契約者情報を把握していますからプロバイダーにその契約者情報の開示を求めれば一発なのです。

インターネットは便利だけど、自動車と同じで気を付けて使わないと自分の首をしめるものになると自覚して使わないといけませんね。自戒もこめて。