高畑裕太事件を弁護士の立場から考察する

高畑裕太さんが逮捕されてしまいましたね。

メディアへの露出も増えて勢いが右肩上がりだったのに、残念でしたね。

人間調子が良いときほど謙虚に注意深く生きていかなくてはならないということを教わりましたね。

 

そこで、今日はこの事件について、弁護人もしくは被害者代理人としての立場から考えてみたいと思います。

 

まず、刑事弁護人としての立場から言うと、まずは弁護方針を考えないといけません。

これからの説明で関連する条文はこちら↓

 

181条2項(強制わいせつ等致死傷)

第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、無期又は五年以上の懲役に処する。

177条(強姦)

暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

25条1項(執行猶予)

次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。

一  前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

二  前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

 

これを前提に説明をすると、高畑さんが女性をレイプしてケガを負わせてしまったことは事実なので、強姦致傷の罪名自体はなかなか争うのが難しいと思います。本人も認めていますし。

そして、強姦致傷の法定刑は5年以上の懲役ですが、執行猶予が付けられるのは刑が3年以下の場合なので、起訴されて裁判になってしまったら執行猶予を求めるという弁護活動はできません(この点は、酌量減軽を認めて下限を2年6月にしてもらった上で執行猶予を付してもらうというのも考えられなくもないですが、単なる酌量減軽をするには単なる情状酌量では足りませんから、本件では厳しい見通しだと思います)。

ですから、弁護人としては、裁判になってしまったら終わりなのですから、まずは裁判にさせないということが至上命題ということになるわけです。

具体的には、どんな条件でも示談してくれる=刑事告訴の取り下げをしてくれるように、かつそれが検察官が起訴不規則を決める20日以内に交渉してまとめないといけないのです。

この点については、強姦罪とは違って強姦致傷罪は法律上は被害者の刑事告訴がなくても起訴できる罪ではあるのですが、やはり被害者の告訴があるのとないのでは大きく情状に影響しますから、裁判になったとしても示談の事実は少なくともこちらの刑の減軽を基礎づける事情になります。そういう意味で、刑事告訴を取り下げてもらうことは弁護人の重要な仕事な訳です。

 

被害者代理人としては、ここが刑事弁護人の弁慶の泣き所ですから、ここを攻めていきます。

つまり、「私が刑事告訴を取り下げないとあなたは間違いなく刑務所にいくけど、それでいいの?」という趣旨の対応をしていくわけです。この状況に乗じて、お金をたくさんもらえばいいことになります。

ここで勘違いして欲しくないのは、私は被害感情を押し殺してお金をたくさんもらいなさいと言っているわけではないということです。犯罪被害者が加害者を許せないのは当たり前です。悔しいのは当たり前です。だから、どんな示談条件も蹴ってそのまま加害者を刑務所送りにするのもいいのです。お金をもらって許すのも、お金をもらわずに刑務所に行ってもらうのも、どちらも正解です。被害者の人生の選択です。

 

少し見方を変えると、人の気持ちの問題なのでなかなか難しい問題ではあるのですが、お金をもらって許してあげる方向で話を進めるなら、示談は遅くとも起訴前にしましょう。

先にも述べたように、加害者から見ると、起訴されるかされないかが一番大きな問題なのですから、起訴されるまではどんな方法でも被害者からお許しをもらいたいのです。でも、起訴されてしまったら、少なくとも刑務所行きは確定してしまうわけですから、加害者としては切迫感がなくなり、金払いは悪くなります。

 

もうひとつ、示談をするときに私が思うこと。

示談するのもしないのも被害者の人生の選択です。でも、示談したけど告訴は取り下げないというのは、私のなかでは刑事弁護人の立場でも、被害者代理人の立場でもありえないと思っています。この点は、弁護士によって考え方の違いが出るところだとは思います。

私がこういう風に思うのは、犯罪をおかしてしまった人の償いかたとして、刑務所にいくか、お金を払うかの2つのどちらかしかありえないのです。お金はもらうけど、刑務所にも行ってもらいたいというのは、加害者に二重の意味で負担を強いることになりますから、私が刑事弁護人なら刑事告訴の取下げをしてもらえないなら示談金は払いませんし、被害者代理人である場合には慰謝料を受け取るなら刑事告訴を取り下げるようよくお話をします。

もちろん、刑事と民事の話は別ですから、刑務所に行ってもらった上で刑務所の中にいる加害者を被告として民事訴訟をするのも1つだとは思いますが、あんまり私は気のりはしないのです。

 

まとめとしては、

①刑事弁護人の至上命題は刑事告訴の取下げである

②被害者が示談に応じるか応じないかは人生の選択であって、どちらでもいい

③被害者が示談をするなら、起訴前にすべき

④被害者が示談をするなら、刑事告訴は取り下げるべき

ということです。

 

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