離婚事件の特殊性&養育費についての考え方

2か月半ぶりの更新になってしまいました。
時のたつのは早いですね。

今回は、離婚事件の特殊性と養育費について述べたいと思います。

まず、離婚事件の特殊性について。
これは、弁護士としての考え方があるので、私の考えを述べます。
離婚事件は、大きく分けて協議→調停→裁判の2段階です。

弁護士が受任するときの大きな判断のポイントとしては、相談者が主張する離婚理由に当たる事実が民法770条1項に該当するのか、その事実をこちらが立証できるのかというところだと思います。この2つが満たされている場合、弁護士であればほとんど全員が相談者の案件を受任して処理することと思います。

でも、難しいのはどちらかが満たされていない場合。よくあるのは、奥さん側からの相談で、だんなさんの言葉の暴力等が原因で離婚したいのだけど、それについて証拠が乏しい場合。

弁護士はこのような事件を受任するかどうかはかなり意見が分かれると思いますが、私はこういう事件も、よほど証拠が乏しくてどうにもこうにもならない場合を除いては、受任することが多いです。

それは、離婚事件には他の分野の事件とは異なる特殊性があるからです。
具体的には、離婚を切り出された相手は、いずれは離婚をせざるを得なくなってしまうということ

どういうことかというと、例えば、お金を貸した借りたの事件があったとしましょう。借りた側=被告は、借りていないのなら裁判でもつっぱねればいいし、その勝訴判決が確定したら一生その人にはお金を返さなくてもいいわけです。

でも、離婚事件は違います。仮に現時点で離婚理由が備わっていなくても、同居期間と同等の別居期間があればそれ自体が離婚理由になるので、ある意味、別居したもんがちなところがあるのです。例えば、4年同居した夫婦がいたとしたら、奥さんから離婚を切り出された夫は、遅くとも4年後には裁判離婚が認められてしまうわけですから、それを踏まえて離婚協議や調停や裁判の対応を考えなくてはいけないということです。

今訴訟に勝って配偶者との離婚は免れたけど、必ず何年かあとには同じように弁護士から通知書が来て裁判でも負けてしまうということを前提に考えなくてはいけないのです。離婚を切り出された配偶者に弁護士がつく場合には、どうせ何年かあとに離婚することは決定的なのだからその離婚成立までの間はお互い有益な時間の過ごし方をしたほうがいいと考える先生がおおいと感じるので、協議や調停でも離婚条件という建設的な話し合いができる場合が多いです。

でも、弁護士がつかない場合や、まれに前述したような落としどころがわかっていない先生が代理人についた場合などは、とりあえず何がなんでも離婚は免れたいということで徹底的に交渉を蹴ってしまいます。建設的な議論ができないということです。離婚は決まっているのに、再婚相手を見つけようと思ったら早いほうがいいのに、配偶者にすがりついて再婚相手を探す期間を逸するというパターンに陥ります。

この場合、離婚を求められた配偶者が奥さんである場合には、特に専業主婦である場合には、自立までの期間夫から婚姻費用(自分と子どもの生活費)をもらうメリットがありますから、自立までの期間の当面の生活費の確保という意味で離婚を拒むメリットはあります。ですから、だんなに一生すがりつこうとか、困らせてやろうとかいう目的以外で、当面の生活費を稼ぐという意味では女性にはメリットがありますから、私は頭ごなしには否定しないし、私も依頼者のご要望に沿いたいと思っています(ただ、一生だんなと別れないという決意の奥さんは、上記のような離婚事件の特殊性がわかっていないと思いますから、私は応援できません)。

問題は、離婚を求められたのが夫である場合。だんなさんは離婚を避けたいでしょう。今は嫁がヒステリックになっているから、いずれは翻意して自分との婚姻生活に戻るだろうと思っているでしょう。でも、経験則上、奥さんがよほどあなたに依存体質でない限り、翻意はないですよ。あきらめましょう。私は名古屋勤務自体も含めて、奥さんが翻意して離婚しないということにしたというのはありません。1つ、身体的DVを受けて、傷害を負い、旦那が傷害罪で警察に逮捕されて、それを理由に離婚したいということで弁護士に相談してきたけど、その奥さんは日常的にDVを受けていたこともあってだんなに依存体質だったので翻意しかけたというのがありましたが、その場合でも結局奥さんは翻意せず夫婦は離婚しました。

女は決意するまでは時間がかかるかもしれませんが、決意したら揺るがないものですよね。私もいろんな方のご依頼を受けて、そのときどきで勉強させてもらっています。人生勉強ですね。

話が拡散してきましたが、何が言いたいかというと、離婚したい方がいらっしゃったら、まずは相談してくださいということです。もしかしたら、私があなたの人生のサポーターになれるかもしれません。

養育費について書こうとしましたが、記事が長くなってしまったので、また明日以降にします。