2017年

9月

23日

本人訴訟は誰のためにもならない

最近、仕事をしていて困ることがあります。

それは、相手方が弁護士をつけずに本人で訴訟遂行されているものです。

結論として、このような本人訴訟は誰のためにもなりません。具体的には、①紛争を無意味に長引かせてしまい、本人だけでなく裁判所や相手方にもかけなくてもいい迷惑をかけてしまうということと、②本来弁護士を付ければ本人が勝つ筋のものでも負けてしまうという本人の不利益です。

 

まず、①については、われわれ弁護士や裁判所が考えている常識を一般の方はおもちになられていないので、いちいちその点に関する説明を裁判所にさせたりすることで1回の期日で済むものも2回の期日が必要になったりということはしばしばです。一般的には、早く紛争を解決するということは原告にとっても被告にとっても裁判所も共通した利益だと思うのですが(もちろん例外もあります)、訴訟当事者の片方が弁護士をつけないだけで、一気にこの共通した利益の実現が難しくなります。何か計画を実行に移すときなど、計画に水を差したり和を乱したりして計画の実行を邪魔したりする、空気が読めない人って、集団の中に1人くらいいますよね。裁判所においては、一方当事者が弁護士をつけているのに、弁護士をつけない本人当事者というのは、そういう風な目で見られます。

ご自分で訴訟を進めようとされている方、言い方悪くなってしまいますが、どうせ負けるなら早く負けた方がよくないですかね。何年も裁判に費やして最終的に完敗した場合、その時間って無駄だと思わないんですかね。そういうことになったとき、目も当てられないということに気づかないんですかね。

 

そして、②ですが、これも裁判所や弁護士が当たり前だと思っていることが当たり前でないから、当然のことですよね。

まず、民事訴訟の大原則は当事者主義です。当事者主義というのは、簡単にいうと、訴える側と訴えられる側の両当事者が主張立証を尽くして、出されたもので裁判所は判断するというものです。ですから、仕事が忙しくて書面が作成できなかったとか、主張を明らかにもせずに(それゆえ争点も明らかになっていないのに)「この点に関する証人は・・・」的な話をしたりだとか、「●●という証拠を調べてもらっても構わない」的な話をしたりだとか(裁判所は「提出された」証拠しか見ません。裁判所が主体となって提出されてもいない証拠を調べることはありません。)的な話をしたりするのは、この大原則からしてありえないわけです。当然のことながら、こういう話になってくると、必要な主張がなされていなかったり、必要な証拠が提出されていなかったりというわけですから、普通に負けますよね。弁護士が入って適切な主張や証拠提出をすれば勝てていたかもしれません。そういう致命的なダメージを覚悟で、あえて法曹資格のない一般の方が自分で訴訟をやりたい理由がわかりません。

さらに言えば、一般の方が書かれる書面は、無駄が多いのにポイントがずれているものがほとんどです。これも、一般の方は裁判の流れなどが理解できていないのですから、(もしくは、流れとかは関係なく自分の書きたいことを書いているからかもしれないのですが、)当然ですよね。たまに、私のお客さんの中に、「こんな感じで書いてください」と裁判で提出する書面の案をくださる方もいますが、残念ながら無駄が多いのにポイントがずれているドラフトばかりです。それほど法曹が起案する書面と同レベルの書面を起案するのは難しいのです。例えば、これまであった事実や物語を書きたい場合であっても、それらが法律上の主張の中でどういう意味を持つのかという枠組みの中で書かないといけません。そういう枠組みなど関係なく、書きたいことを書いているようでは裁判所も読んでくれないのです。

 

そういうことで、本人訴訟は誰のためにもならないことはわかっていただけたとは思いますが、そうは言っても弁護士に依頼するお金がないない場合はありますよね。そういうときは、うちの事務所では扱っていませんが、法テラスという国の機関に相談されるのがいいと思います。これは端的には、弁護士費用を国が立て替えて支払ってくれて、利用者は国に対してその立替費用を分割で支払っていくというものです。この場合には、まったくお金をもっていない人でも弁護士に依頼することができます。

 

2017年

9月

11日

一口に「降格」といっても…

最近のご相談で「降格」に関するご相談もあったので、今日はこれをのべます。

 

「降格」とひとくくりで言っても、二種類あります。

「職級」の降格と、「職能」の降格です。

職級というのは、主任とか係長とか課長とか部長とか組織の中の位置付けとして自分がどこになるのかを示すものです。この「職級」の降格の場合には、誰をどのポストに置くかということは企業側に大きな人事権裁量が認められますから、基本的には争うことは難しいです。

しかし、「職能」に関する降格は話が別です。「職能」とは、職業上の能力のことで、典型的には警察組織で言うところの巡査部長とか警部補とか警視とかいうものです。職能は現時点でその能力があるからその等級になっているわけで、普通能力があったのになくなることはありませんから、原則企業側の裁量権は及びません。そして、職能の降格は多くの場合減給など労働条件の根本に関する部分が悪くなることを意味するところ、労働条件の変更は原則労働者と使用者の合意がないとできませんから、やはり企業の裁量権の話にはなりません。もっとも、懲戒処分での職能降格の規定だったり、職能を維持するための資格維持要件などが就業規則に明記されている場合には、そういう範囲での降格があるということが合意の内容になっていると考えられますから、その場合には合理的な理由があるものとして降格は適法なものとなります。

何が言いたいかといえば、もし企業から(就業規則に明記がないのに)「君は今の職能にふさわしくない人間だから、降格させるね」といわれたら、それは違法ですから、弁護士のところに相談に行った方がいいということです。対して、「君は課長の器ではないから、平社員に戻すね」と言われたとしても、法的には対抗することが難しいことになります。

職能の降格について争う場合には、労働審判や民事訴訟によって、以前の職能等級の地位であることの確認請求や降格処分によって減収してしまった分の未払い賃金請求をしていくことになります。

 

労働相談もきみさらず法律事務所までご遠慮なくどうぞ。

 

きみさらず法律事務所

平日10時から18時

電話0438404003

2017年

9月

03日

名ばかり管理職

久しぶりにマックに行って来ました。

グランてりやき美味しいですよね。ポテトもなんだかんだでマックのが一番美味しいと思います。

 

そんなマックを食べながら、ふと思い出しました。以前マックでは、平社員と業務は変わらないのに「マネージャー」という管理職になったがために、結果として収入が落ちてしまったため、その分の未払い残業代などを請求したという事件がありました。

この種の相談は私も最近受けたということで、今日はこれについて述べたいと思います。

 

まず、管理職になったために収入が減るという仕組みですが、労働基準法は残業代の支払いについて、いわゆる管理監督者は適用除外としています。

平社員であれば残業しただけ残業代が加算されていくという仕組みですが、管理職の場合は管理職手当てをもらうかわりに残業代がつけられない、管理職手当てが雀の涙だった場合に、結果として残業代をもらっていた方が得だったということが問題の本質です。

 

そうすると、「主任」とか「マネージャー」とか「○○長」とか立派な肩書きはもらっているけど、自分は上記のような管理監督者にあたるか考えないといけません。

この点について、判例は、

残業代関係の法令が適用除外になる管理監督者といえるためには、

①会社の経営方針や重大事項について決定に参画する権限があり、労務管理上の指揮命令権限がある

②出退勤の自由がある

③相応の手当てをもらっている

ということを判断要素としています。

なので、どんなに立派な肩書きがついていても、上から言われたことをやってるだけであったり、バリバリ時間の拘束があったり、雀の涙ほどの対価しかもらっていなかったりする場合には、そのひとは普通の平社員と同じです。

ですから、こういう場合には、もらっていない残業代は請求することができます。

 

あと、豆知識なのは、仮に管理監督者認定されたとしても、深夜労働の割り増し賃金は適用除外になりますから、管理監督者でも普通にもらえます。なので、管理監督者だから深夜手当ても支払わないという企業があったら、ブラック企業認定です。

 

労働相談もきみさらず法律事務所までご遠慮なくどうぞ。

 

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2017年

8月

20日

薄利多売の弁護士に人生をゆだねることの危険性

良い記事。

今は弁護士が増えていて、ちゃんとしていない人が弁護士になっているわけがないという一般の方からする大原則が、現在は前提を失っていることを的確に指摘する記事です。

まず、弁護士の仕事のやり方として上手い下手とかいう次元ではなく(私はグレーのところを白にしたり黒にしたりする弁護士が上手い下手の部類になると思いますがその次元ではなく)、基本的な知識がなかったり、コミュニケーション能力がやばいのではないかという点で(普通だったら白のはずのものを弁護士のせいで黒にしてしまったりその逆もしかりという意味です)、弁護士として備えていなくてはならない素養を備えていない弁護士はそこそこ遭遇します。風邪の症状で診察を受けに行ったら、湿布貼っておけば熱が下がって咳が止まりますよと医師に言われる次元の話をしています。

たぶんそういう弁護士に仕事を依頼してしまう依頼者は、専門用語をまくしたてられてその弁護士のことをよくわからなかったり、(前述した大原則は存在するとの勘違いに基づいて)費用が安いからといってその弁護士に自分の人生をまかせてしまったからなのかなと思います。

だからまず、私が言いたいこととしては、人生の岐路に立ったなら、複数の弁護士に相談して、自分が信頼できると決断できるような先生に自分の人生を預けるべきということ。例えば、10人の弁護士に相談に行って、9人が「これは厳しい」と言っているのに「全然いけますよ」という1人の弁護士に相談したら、それはリスクが伴うのは一般常識からしたら当然のことです。そのリスクを承知でその先生に依頼するのは人生の選択としてありだとは思いますが、その先生が失敗したからと言って自分のリスク管理の甘さを棚上げしてその弁護士を責めるのは筋違いです。

私はラーメン食べ歩きが趣味なのですが、まずは食べログで点数の高いところを検索して、実際にその店が出すラーメンを自分の自分の確かめてみて、おいしかったらリピートします。「自分の舌で確かめてみて」ということが重要で、もし万が一私が気に行ったお店のスープに変なものが含まれていたとしても、私はその店を責めたりしません。なぜなら私の判断でその店に何度も通っているのだから。飲食店だったらこういうのは常識だと思うのですが、現在の弁護士業界でもこういう常識がまかり通っているということを一般の方も強く認識すべきです。

あと、費用的な問題ですが、この記事で引用される弁護士と面談せずにその弁護士に仕事依頼してしまった「被害者」さんですが、前述した大原則が現在でも妥当しているという勘違いをしてしまった(調査不足だった)ということに加えて、事務員が本質的な部分の対応をすることのやばさに気づかなかったということで、「ただ自分が悪いだけなんじゃないの?」と思っています。弁護士の報酬は相談料の相場で1万0800円/時間、事務員さんの給料は良くて1500円/時間なのですから、商売のことを考えれば、弁護士としては事務員さんにできるだけ自分の仕事をやってもらいたいと思うのは当然です。

私はこういうのが嫌いなので、私は弁護士として人生の岐路に向き合わないといけないときは私自身がお客さんと向き合わないといけないというプライドをもっているので、自分が責任を持てる範囲でしかご依頼を受けません(着手金がお支払いいただけないという理由で、ご依頼をお断りしたことも何件があります)。ですから、当事務所の弁護士費用は、木更津相場からして5万円程度高めです(都内の法律事務所の相場からしたら比較できないほど安価ではありますが)。弁護士に依頼するということ自体が人生の岐路なのですから、リスクはあるけど5万円を節約してでも安く弁護士を雇いたいというお客さんは薄利多売の弁護士に自分の人生を託せばいいと思うし(この意味で薄利多売の弁護士は需要があるのだと思います)、少し金額自体は高いけど自分の人生の方向性としたら安価だし安心できる先生に頼みたいと思ったら当事務所のような方向性の事務所に依頼したらいいと思うのです。私からしたら、前者のような方は、手元に500円しかないのに、銀座の九兵衛に行って「適当に握ってもらって日本酒も好きなだけ飲ませていただけますか」といったり、スシローに行って「こんなまずい寿司食えるかー!」と言っているのと寸分たがいません。

何が言いたいのかといえば、現代社会では、弁護士業界も「安かろう悪かろう」の原則がまかり通っているということ。「弁護士なのだから、ちゃんとに私の人生を守ってもらえる」という神話は前提を失っており、薄利多売の弁護士に自分の人生をゆだねるのは相応のリスクを伴うものであること。

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20170405-00069563/

2017年

8月

19日

弁護士会照会

ききなれない言葉ですが、かなり有用で、当事務所もよく利用するので、今日はこれについて述べます。

 

まず、弁護士会照会ですが、これは各弁護士会が個別の弁護士の嘱託を受けて各機関に幅広い事項について照会を行うというものです。照会を受けた機関は原則的に照会義務があるものとされ(現在は、最高裁が照会義務について高裁にやり直しの裁判を求めている状態)、我々弁護士の業務に役立っています。

たとえば、当事務所では、だんなの浮気相手の携帯電話番号しかわからないが住所を知りたいような場合や、前にもブログでかいたような一部相続人の着服横領が疑われる場合に銀行に取引履歴を請求したり、被相続人に生命保険がありそうなときに生命保険契約の有無や保険金支払いの記録などを取り寄せるときなどに利用したことがあります。あとは、当事務所ではないですが、前に述べた最高裁の判例の元になった事案で、住民票は動いていないけど郵便の転出届が出されている場合などに住所を知りたいような場合にも利用できますね。

 

訴えたい相手がいるけど詳細がつかめない場合、弁護士に調査を依頼すればわかる場合があります。この弁護士会照会の他には、弁護士は住民票がとれたり、戸籍がとれたり、戸籍の付票がとれたりします。

とりあえずは弁護士に相談してください。きみさらず法律事務所までご遠慮なくどうぞ。

 

きみさらず法律事務所

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千葉地裁木更津支部管内(袖ケ浦市、木更津市、君津市、富津市、館山市,鴨川市,南房総市,安房郡(鋸南町))の事件を重点的に、

千葉県(千葉市・市原市等内房地域)、東京都・神奈川県・埼玉県

の事件もお取り扱いします。

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